テイスティング — 根拠を添えた銘柄キュレーション

人物ストーリーと技術的根拠を必ず添えた銘柄キュレーション。

宮城峡シングルモルト レビュー ― 軟水と背の高いスチルが作る軽さの工学

— 宮城峡シングルモルト(ノンエイジ・45%)のレビュー。洋梨と白桃の軽さは、竹鶴政孝が3年かけて探した新川の軟水と、日本有数の背の高いスチルが生むreflux(還流)の出力。余市との違い、価格、飲み方まで。

余市と宮城峡の違い ― 石炭直火とスチームで読むニッカ 2 本の選び方

— 余市と宮城峡、どっちを買うか。石炭直火vs スチーム間接、スチルの形、仕込み水という3つの設計差が味をどう分けるかを飲み比べで確かめ、好み・食事・場面別の選び方まで。同じ竹鶴政孝が意図して作った正反対の2本。

グレンドロナック 12 年 レビュー ― Rachel Barrie が引き継いだ Billy Walker のシェリー爆弾工学

— グレンドロナック 12 年 Original は 43% ABV、PX と Oloroso 樽の全期間熟成。2008 年に化学博士 Billy Walker が敷いた設計を、2017 年から Rachel Barrie が守っている 1 本を工学的に読みます。

ラフロイグ10年 レビュー — Campbell の cut point 72-60% と Kilbride Dam

— ラフロイグ10年 (43%ABV、モルト40-45ppm)。John Campbell が 2006-2021 年の 15 年で finalize した 72-60%ABV の spirit cut と、Kilbride Dam 上 Warehouse No.1 に流入する海霧が作る bromophenol の医薬品香を、Bessie Williamson からの継承として読むレビュー。

山崎12・白州12・響 の違い — 輿水精一と鳥井信吾が3本に分けた『同じ会社の別の答え』

— サントリー山崎12年・白州12年・響 Japanese Harmonyの飲み比べ。同じ会社が3本に分けた設計判断を、輿水精一(4代目チーフブレンダー)と鳥井信吾(3代目マスターブレンダー)の承認関係と、立地・スチル・樽・グレーンの技術差から読む。

タリスカー 10 年 レビュー ― MacAskill 兄弟の非対称 5 基スチルと Skye のワームタブ

— Skye 島 Carbost で 1830 年に MacAskill 兄弟が創業したタリスカー。破産と 1960 年火災を経ても保存された 5 基の非対称スチルと 6 基のワームタブが、10 年物の黒胡椒フィニッシュをどう作るか読み解きます。

Glenmorangie Original 10 年 レビュー — Bill Lumsden が触らなかった 5.14m の still と、3,000 円台に残った桃と柑橘

— スコットランドで最も背の高い 5.14m の still が 1843 年から立っている。それを 1995 年に引き継いだ Bill Lumsden は、30 年「触らない」を選び続けた。3,000 円台の Glenmorangie Original 10 年に残った桃と柑橘を、tall still の物理と Bourbon refill 樽の経済で読み、山崎 12 年との light 二系統対比で位置付ける。

知多シングルグレーン レビュー:福與伸二と『響を支える愛知のサントリーグレーン蒸溜所』、コラムスチル三塔で軽質/中質/重質を作り分ける工学

— 知多シングルグレーンの瓶の中身は、同じ蒸溜所が蒸留パラメータだけを変えて作る軽質・中質・重質の三種類。1972年から響のために動き続けてきた愛知の専業蒸溜所が、2015年に福與伸二の判断で自分の名前を瓶に載せた経緯を読む。

マルス駒ヶ岳と本坊酒造の二拠点熟成 ― 1985 年に作って 1992 年に止め 2011 年に再開した蒸留所が、信州 798m と津貫の海岸で『同じスピリットを別々に育てる』と決めた工学

— シングルモルト駒ヶ岳を、本坊修が 2009 年に再開を承認した経済学と、信州 798m と津貫の海岸で同じスピリットを別気候で熟成する設計から読み解く。19 年の沈黙が残した在庫と、現代のチーフディスティリングマネージャー草野辰朗の手のなかで二拠点が一本の瓶に収束する経路を辿る。

ニッカ フロム・ザ・バレルと竹鶴威 ― 完成したブレンドを、もう一度樽へ戻して51.4%で瓶詰めするという『余計な一手間』

— 世界中のブレンダーが『混ぜたら即瓶詰め』で済ませる工程に、ニッカはわざわざ倉庫代を足して数か月寝かせ直す。竹鶴威が1985年に設計した再マリッジと、加水を削った51.4%という度数が、500mlの角瓶に何を残したのかを舌で読み解く。

フォアローゼズとジム・ラトリッジ ― 2つのマッシュビル×5つの酵母=10レシピという、一本のバーボンに組み込まれた組み合わせ設計

— フォアローゼズは2種のマッシュビルと5種の酵母を掛け合わせた10通りのレシピを、1つの蒸留所で並走させる。なぜジム・ラトリッジは効率を捨てて10レシピを潰さなかったのか。イエローラベル/スモールバッチ/シングルバレルの作り分けを、ワイルドターキー101と並べて舌で読み解く。

Oban 14 と Stevenson 兄弟 ― 崖と町に挟まれて拡張できない蒸留所が、二基の小型スチルに残した塩と蜜

— 崖と街区に挟まれて物理的に拡張できない Oban が、二基の小型ポットスチルと『熱く運転する』worm tub に残した West Highland の塩と蜜。石工兄弟と Higgin の『広げない』決断を、Classic Malts の一本で舌から読み解く tasting 記事。

ワイルドターキー101とジミー・ラッセル ― 70年『樽詰め度数を上げなかった』非効率が、#4チャーと一緒に瓶へ残したもの

— 業界が樽詰め度数を125 proofまで上げて増産する中、ワイルドターキーは110 proof前後を守ってきた。その非効率を70年現場で守ったジミー・ラッセルと、#4アリゲーターチャーが101 proofの瓶に残した厚みを、ジムビーム・バッファロートレースと並べて読む。

山崎 12 年 レビュー — 鳥井信治郎の蒸留所設計と、白州 12 年との対比で読む湿潤気候の効き方

— 山崎12年の輪郭は、鳥井信治郎が1923年に選んだ湿潤な立地と、一蒸留所に大小・直火/間接・worm tub/shell-and-tube を混在させた設計の帰結。形の違うスチル群と気候という二つの技術根拠から、フラッグシップ1本を白州12との対比で読む。

Springbank 10 と Mitchell 家 ― 町が死んだ Campbeltown で、手作業の蒸留所が残した塩と油

— かつて 30 以上の蒸留所を擁した Campbeltown は今 3 つ。町の灯を消さなかった Mitchell 家の Springbank 10 を、2.5 回蒸留・床麦芽・直火という手作業の技術と、Glen Scotia 15 / Kilkerran 12 との対比で読む。

厚岸シングルモルトと樋田恵一 ― 昆布を商う会社が亜寒帯にアイラを建て、二十四節気で瓶に名前をつけた決断

— 厚岸の二十四節気シリーズを白州12とLagavulin 16の間に置いて飲む。昆布等の食品商社の二代目・樋田恵一が、なぜ北海道の霧の沿岸にアイラを移植したのか。寒冷地熟成・ピート・ミズナラの三つの技術判断から、瓶のなかの一杯を読む。

Redbreast 12 と Barry Crockett ― 麦芽税が生んだ『未発芽大麦の配合』が、アイリッシュ・シングルポットスチルの口当たりを決めた

— 蒸留所の官舎で生まれた Barry Crockett と、1785 年の麦芽税が残した未発芽大麦の配合。Redbreast 12 のクリーミーな口当たりが、誰のどんな決断でできているかを読む。

余市シングルモルト レビュー ― 石炭直火蒸留が生む油の重さと、竹鶴政孝の設計

— 余市シングルモルト(ノンエイジ・45%)のレビュー。石炭直火蒸留のMaillard反応が生む油の重さを、宮城峡との飲み比べで確かめる。1934年に竹鶴政孝が選んだ『いちばん面倒な火』の理由と、価格・飲み方まで。

静岡蒸溜所と中村大航 ― 軽井沢のスティルを買い、地元杉で薪を焚いた男が Prologue K と W に分けたもの

— Prologue K と W を並べる。3年・55.5%・バーボン樽まで揃え、変えたのはスティルだけ。軽井沢由来の K と地元杉で焚く W に分けた中村大航の判断を舌で読む。

Iwai Tradition と岩井喜一郎 ― 竹鶴政孝を派遣した上司の名前が、本坊酒造 Mars Whisky のラベルに残った経緯

— ジャパニーズの起源を Suntory と Nikka で語る癖を、Iwai Tradition は静かに訂正する。竹鶴政孝を派遣した上司・岩井喜一郎が Mars Whisky の原型を引いた経緯を読む。

Old Pulteney 12 と Stuart Harvey ― Wick の北海岸で、5 蒸留所の個性を 20 年「同じ味にしないこと」を仕事にしてきた Master Blender

— 最北 Wick の Old Pulteney 12 を40%で開けた夜。平面切りの wash still と worm tub、5蒸留所の個性を20年『同じ味にしない』Stuart Harvey の steward 仕事を読む。

Bunnahabhain 12 レビュー — Ian MacMillan の non-chill filtered 46.3% と、Islay でピートを焚かない選択

— Islay 北東岸の Bunnahabhain は本流からピートを抜いて売ってきた。46.3%・non-chill filtered・natural colour を2010年に通した Ian MacMillan の判断を読む。

白州 12 年 レビュー — Mike Miyamoto の 5 ppm ピート判断と、標高 700m が「森」を作る理由 (山崎 12 年との比較)

— 白州12年を山崎12年と並べて飲む。なぜ片方は薪の煙でミントなのか。Hakushu 蒸留所長 Mike Miyamoto を通し、標高700m・木桶発酵・5ppm のピートが残すものを書く。

Aberlour A'Bunadh と Graeme Cruickshank — Batch ごとに違うのに A'Bunadh のままでいられる理由

— 1997年から80回以上 batch を重ねる A'Bunadh。NAS・加水なし・シェリー樽のみ、毎回 ABV が違うのに『らしさ』が崩れない仕事を Cruickshank の現場から読む。

Lagavulin 16 レビュー — Iain McArthur が50年見続けた Islay フェノールと、Caol Ila 12 との対比

— Lagavulin 16 と Caol Ila 12 を並べる。同じ35ppm・8km の2蒸留所がなぜ違う瓶になるか。1970年から53年 Islay の樽番をした Iain McArthur の仕事から読む。

Ichiro's Malt の起点 ― 肥土伊知郎が400樽を救出してから秩父を建てるまでと、ミズナラが瓶に残したもの

— Ichiro's Malt と Chichibu のミズナラ系を、2004年の400樽救出と肥土伊知郎の20年の現金繰りとして読む。ミズナラのラクトン化学が手元のグラスで確かめさせるもの。

Glenfiddich 12 レビュー — Brian Kinsman が60年「同じ味」で出し続ける世界最売シングルモルトの工学

— 1963年に世界初のシングルモルトとして出た Glenfiddich 12 を、Brian Kinsman は2009年から『同じ味のまま』届ける。年1,400万本超を60年保つ工学を読む。