ウィスキーを、
人で読む。

LegacyDramは、ウィスキーを「銘柄」ではなく「誰のどんな決断で生まれたか」から読み解くキュレーション・メディアです。エンジニアがレガシーコードを読むように、瓶の中の意思決定をたどります。

3つの柱

人物

蒸留所の設計者、ブレンダー、所有者、その背後にいるエンジニア。彼らがどんな決断を下し、どんなトレードオフを瓶に閉じ込めたのか。

技術

蒸留化学、樽の科学、ブレンドの数理、発酵のエンジニアリング。ウィスキー作りをエンジニアの目で読み解きます。

テイスティング

人物のストーリーと技術的な根拠を添えた銘柄キュレーション。広告コピーや「ベスト◯選」は載せません。

最新の記事

マルス駒ヶ岳と本坊酒造の二拠点熟成 ― 1985 年に作って 1992 年に止め 2011 年に再開した蒸留所が、信州 798m と津貫の海岸で『同じスピリットを別々に育てる』と決めた工学

— シングルモルト駒ヶ岳を、本坊修が 2009 年に再開を承認した経済学と、信州 798m と津貫の海岸で同じスピリットを別気候で熟成する設計から読み解く。19 年の沈黙が残した在庫と、現代のチーフディスティリングマネージャー草野辰朗の手のなかで二拠点が一本の瓶に収束する経路を辿る。

海のフェノールと John Campbell、Laphroaig の bromophenol が Highland Park ヘザーピートと違うところ

— Laphroaig のヨウ素香は比喩ではない。麦芽には bromophenol が実在する。Islay の maritime peat と Orkney の heather peat、化合物の起源は植生で決まる。John Campbell が 27 年掛けて制御したのは混合比だけだった。

ニッカ フロム・ザ・バレルと竹鶴威 ― 完成したブレンドを、もう一度樽へ戻して51.4%で瓶詰めするという『余計な一手間』

— 世界中のブレンダーが『混ぜたら即瓶詰め』で済ませる工程に、ニッカはわざわざ倉庫代を足して数か月寝かせ直す。竹鶴威が1985年に設計した再マリッジと、加水を削った51.4%という度数が、500mlの角瓶に何を残したのかを舌で読み解く。

フォアローゼズとジム・ラトリッジ ― 2つのマッシュビル×5つの酵母=10レシピという、一本のバーボンに組み込まれた組み合わせ設計

— フォアローゼズは2種のマッシュビルと5種の酵母を掛け合わせた10通りのレシピを、1つの蒸留所で並走させる。なぜジム・ラトリッジは効率を捨てて10レシピを潰さなかったのか。イエローラベル/スモールバッチ/シングルバレルの作り分けを、ワイルドターキー101と並べて舌で読み解く。

水は風味を決めるのか ― 仕込み水・冷却水・加水という『水の三役』、硬水/軟水神話の解体、そして Ian MacMillan が River Teith を電気にも変えた Deanston の工学

— 「名水が味を決める」はウィスキー最大のマーケティング神話だ。だが水が最終風味に効くのは、ロマンチックな仕込み水ではなく、銅接触と硫黄を左右する冷却水の温度のほうだ。River Teith を仕込み・冷却・水力発電に三重利用する Deanston を蘇らせた Ian MacMillan の判断を、水の三役という工学から読む。