技術 — 工学として読むウィスキー造り

蒸留化学・樽科学・ブレンド数理・発酵工学を、曖昧にせず説明する。

乳酸菌を飼う発酵槽 ― 肥土伊知郎が秩父でミズナラの washback を洗いきらない工学

— ステンレス発酵槽は殺菌できる。木桶は殺菌しきれない ― 木目に乳酸菌が棲む。肥土伊知郎が秩父で世界初のミズナラ発酵槽と4日発酵を選んだ判断を、乳酸エチルの生成化学とトレードオフから読む。

樽は何度生まれ変われるか ― ファーストフィル・リフィル・再チャーの数理と、福與伸二が引き受けたサントリーの『樽在庫問題』

— ウィスキーの樽は使うたび痩せる減衰資源。ファーストフィルから再チャーまでの抽出減衰と樽在庫の最適化を、サントリー5代目チーフブレンダー福與伸二の判断から読む。

Billy Walker と GlenAllachie ― 4 つの蒸留所を救出した化学博士が、72 歳で 5 つ目を独立で買い直した理由

— GlenAllachie 12年の中身は Pernod Ricard の旧在庫を Billy Walker が Oloroso 樽へ詰め替えたもの。4蒸留所を売った翌年、72歳で5つ目を独立取得した化学博士の判断を読む。

田中城太と富士御殿場の三本のグレーンスティル ― 一つの蒸留所で grain whisky を三通りに作るという工学判断

— 富士御殿場には稀な3種のグレーンスティルが並ぶ。四社合弁が残した蒸留器パズルを、田中城太が Master Blender として一人で統括する。Single Grain Fuji の中身を読む。

竹鶴威と Coffey ― 父が買った蒸留塔を息子が 30 年回し続けた工学判断

— Nikka Coffey Grain の中身は1830年 Coffey 特許の直系。父・政孝が運んだ塔を30年回し grain を単独ボトリングに格上げした2代目・竹鶴威の工学判断を読む。

大麦品種という根の選択 ― Golden Promise が Macallan を作り、Concerto が Macallan を変えたかもしれない話、そして Bob Dalgarno が引き継いだ収量と風味のトレードオフ

— Macallan の oily な新酒は1965年生まれの大麦 Golden Promise に依存していた。1994年に25%へ減らした判断を、Bob Dalgarno と収量・風味のトレードオフから読む。

Glenfarclas の直火加熱と Grant 家 ― rummager の銅鎖が Maillard 反応をシェリーと結婚させた 161 年

— Glenfarclas は現在スコッチで唯一、全6基を直火加熱する。釜底の Maillard 反応とシェリー樽が熟成中に増幅し合う仕組みと、Grant 家が steam coil 化を3度拒んだ理由を読む。

Bowmore のフロアモルティングと Eddie MacAffer の 50 年。cresol / guaiacol / syringol / 4-vinyl guaiacol の混合比は誰が決めているのか

— Islay のスモーキー香は phenol 4化合物の混合比。Bowmore はその比を1966〜2016年、Eddie MacAffer 一人が床麦芽で決め続けた。50年の仕事と西海岸 peat の話。

三回蒸留の数学:Auchentoshan と Springbank Hazelburn が「蒸留 1 回追加」で何を捨て何を残したか

— 完全3回蒸留を運用するスコッチは現在3つだけ。Auchentoshan の200年と Springbank Hazelburn の復活を、70%と81%の差と cut points の数理から読む。

ワームタブと 2.81 回蒸留:Mortlach の George Cowie が 100 年捨てなかった非効率

— Dufftown の Mortlach は6基の蒸留器とワームタブ、『2.81回蒸留』を100年ほぼそのまま運用する。鉄道技師 George Cowie の工程図を継いだ非効率を化学から読む。