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田中城太と富士御殿場の三本のグレーンスティル ― 一つの蒸留所で grain whisky を三通りに作るという工学判断

技術
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ウィスキー蒸留所は普通、蒸留器を 1 種類 持っています。Scotch の single malt 蒸留所は pot still (単式蒸留器)、grain whisky の蒸留所は Aeneas Coffey が 1830 年に特許を取った 連続蒸留器、というふうに、種類は蒸留所ごとに固定される。これが業界の標準的な構成です。世界で例外がいくつかあって、富士御殿場蒸留所 はその一つです。1972 年に Kirin と Seagram の合弁会社として静岡県御殿場市に建てられ、1973 年に蒸留を開始したこの蒸留所には、grain whisky を作る 3 種類のスティル と、malt whisky を作る 1 種類の pot still が並んで立っています。3 種類のグレーンスティルが一つ屋根の下に揃っている蒸留所は、世界に他に存在しません。

合弁の親会社が Scotch (Chivas Brothers)、Bourbon (Four Roses、Seagram グループ)、Canadian (Seagram カナダ)、Japanese (Kirin) の四種類だったので、それぞれの本国スタイルの grain whisky を作れるようにスティルを揃えた、という、聞くと笑ってしまうほど合理的で複雑な出自を持つ蒸留所です。この四種類のウィスキーを一人で統括しているのが 田中城太 (Jota Tanaka) で、彼は 1988 年に Kirin に入社、Napa Valley でワイン醸造、Kentucky で Four Roses bourbon の製造に関わり、1999 年から whisky blender、2010 年に Chief Blender、2017 年に Master Blender になりました。彼の名は瓶に出ません。だが、あなたが Single Grain Fuji や 富士山麓を開けるたびに、彼の判断を飲んでいることになります。

富士御殿場蒸留所の蒸留器配置図。タイトル「四社合弁が残した蒸留器パズル」。3 種類のグレーンスティルを 1 つの蒸留所で並列運用する世界唯一の構成を示す。Light (Scotch-style): multi-column continuous still、ABV 約 94%、congener 少。Medium (Canadian-style): kettle & column still、回分蒸留、ABV 約 85%、congener 中、Single Grain Fuji の中核。Heavy (Bourbon-style): beer column & doubler、連続蒸留、ABV 約 70%、congener 多、bourbon-like。さらに malt 用 pot still が別途並立。各装置から出る spirit の風味プロファイル (clean / rich / heavy / fruity) を矢印で示す。Master Blender: 田中城太 (Jota Tanaka、2017 年就任、2022 Whisky Magazine Hall of Fame)。出典: Kirin 公式 / Master of Malt / 88 Bamboo / Whisky Advocate。

1972 年に「四種類のウィスキーが作れる工場」を建てるという出資判断

私は蒸留器の写真を見比べるとき、自分が何を見ているのか正直よく分かっていません。形が違うのは見えます。だが形の違いが瓶の中で何になるのかは、化学式を書き出すまで腑に落ちない。富士御殿場の話を最初に読んだとき、私はまず「なぜ一つの蒸留所に蒸留器が四種類あるのか」が分かりませんでした。Scotch の蒸留所に行けば pot still が並んでいる。Bourbon の蒸留所に行けば column still と doubler が並んでいる。それぞれの国の標準で揃えるのが普通です。富士御殿場はそうなっていない。

理由は出資構成です。1972 年に Kirin Seagram Ltd という合弁会社が、Kirin (日本)、Seagram (カナダ)、Four Roses (アメリカ、Seagram の傘下)、Chivas Brothers (スコットランド、Seagram の傘下) の四社の共同事業として設立されました。Seagram 一社が三つの本国スタイル (Canadian、American、Scottish) を抱えていて、Kirin がそこに Japanese を足した格好です。蒸留所の建設地として御殿場が選ばれたのは、富士山南東麓の標高 620 m の地点で、年平均気温が 13°C 前後、湿度が比較的低く、Scotland の気候に最も近い とされたためです (土屋守、Japan Times、Kirin 公式)。

四社合弁の合理的な帰結として、御殿場では「四種類のウィスキー全部を一つの蒸留所で作る」という設計判断が下されます。Bourbon の column と doubler、Canadian の kettle、Scotch の multi-column、そして Japanese 向けの pot still。設備の物理的な並列が、合弁出資の物質的表現になっている、という、合弁会社の社是としてはあまりに直訳的な意思決定が、この蒸留所には残っています。Kirin が 2002 年に他の三社の持ち分を買い取り、現在は Kirin の単独子会社として運営されていますが、設備の構成は四社時代のまま継承されています。

ここで一つ書いておくと、合弁時代の意思決定を 50 年以上にわたって「片付けずに継承する」という選択は、経営史的にはむしろ稀です。買収後に設備をスリム化して一系統に集約するのが、通常の M&A 後の整理です。Kirin が 2002 年以降もこの四種構成を維持し続けたのは、整理コストよりも 四種混在の希少性そのものが商業的価値を持つようになった と判断したからで、その判断が下されたのが 2000 年代後半、ちょうど田中城太が Kentucky から戻ってきて Chief Blender に就任する直前の時期と重なります。

Master Blender 田中城太 ― ワインから入り、bourbon を経由した男

人物軸に降ります。

田中城太 (Jota Tanaka) は 1962 年京都市生まれ。京都の 伏見 (清酒の名醸地、月桂冠や黄桜の本拠) で、家の向かいが酒蔵という環境で育った人物です。1988 年に Kirin Brewery に入社しています (88 Bamboo インタビュー、Whisky Advocate)。彼のキャリアは whisky blender として始まったわけではなく、ワインから始まっています。

経歴を時系列で整理します (出典: 88 Bamboo、Drinks Adventures、Whisky Advocate、Dear WHISKY のインタビュー archive を crosscheck)。

  • 1988 年: Kirin 入社
  • 1989 年: Napa Valley のワイナリーで醸造研修
  • 1992–1995 年: University of California, Davis 大学院 (修士課程) でブドウ栽培・ワイン醸造を学ぶ
  • 1995 年: 帰国、Kirin 御殿場工場でワイン製品開発・品質管理、その後ワインマーケティング、RTD (Ready-to-Drink) 開発
  • 1999 年: whisky blender としてのキャリアを開始
  • 2000 年代: Kentucky の Four Roses Distillery に出向、bourbon 製造に約 7 年関与 (Kirin は当時 Four Roses を保有していたため Seagram から継承した bourbon 事業として運用)
  • 2009–2010 年: 帰国、Kirin Chief Blender に就任
  • 2017 年: Master Blender 就任 (Icons of Whisky 2017 で Master Distiller / Master Blender of the Year を受賞)
  • 2022 年: Whisky Magazine Hall of Fame 入り

ここで重要なのは、田中が ワイン → bourbon → whisky の順でキャリアを積んでいることです。これは富士御殿場の蒸留構成と物質的に対応しています。bourbon の column と doubler を 7 年現場で見てきた人物が、Scotch-style の multi-column も Canadian-style の kettle も含めた四種を統括する位置に座る、というのは、合弁出自を体現するキャリア設計として、出来すぎなほど整っています。

「英雄譚にしない」を信条としているので、田中を「日本のグレーンウィスキーの天才」とは書きません。彼は合弁の歴史的負債と資産の両方を引き継いだ技術者で、3 種のグレーンスティルを並列運用する複雑性を、毎日 blender 室で扱っている人です。

三本のグレーンスティル ― 装置の物理を一つずつ書く

ここから装置の話に降ります。富士御殿場には grain whisky 用のスティルが 3 系統あります。それぞれの正体を、機械工学側から書き起こします。

Light: multi-column still (Scotch-style)

multi-column still (多塔式連続蒸留器) は、Aeneas Coffey が 1830 年に特許を取った 二塔式 Coffey still の発展型で、塔の数を 3 ないし 4 に増やし、各塔で異なる留分を分離する設計です。Cameronbridge や Strathclyde (Scotland) の grain whisky 生産が標準的に使う形式で、富士御殿場の light grain は同様の構成を採っています。

  • 物理: 蒸気を塔の下から吹き込み、wash を上から流す。塔の中の plate (蒸留段) を蒸気と液が反対方向に通過しながら vapor-liquid equilibrium (VLE、気液平衡) を多段で繰り返す
  • 出口 ABV: 約 94% (エタノール-水の azeotrope = 共沸混合物の限界 95.6% に近い)
  • congener: 少。ethyl acetate (酢酸エチル、(CH3COOC2H5)、フルーティだが過剰で溶剤臭)higher alcohols (fusel oil、isobutanol、isoamyl alcohol 等の重い口当たり成分) の大半が中間留分 (fusel cut) に押し出されて切り捨てられる
  • 出てくる spirit の性格: clean、light、樽由来の vanillin (バニラ系の甘い香気) が乗りやすい

Scotch の Coffey grain (Nikka の例: 竹鶴威と Coffey ― 父が買った蒸留塔を息子が 30 年回し続けた工学判断 で書いたもの) の系譜にある、最も「軽い」grain です。

Medium: kettle & column still (Canadian-style)

kettle still はあまり日本語圏では知られていない装置です。pot still と column still の中間の性格を持ちます。形状は球形に近い銅製の蒸留釜で、上部に column (鉛直の精留塔) が接続されています。Canadian whisky (Crown Royal、Canadian Club 等) の base whisky を作る標準的な装置で、富士御殿場以外の日本のウィスキー蒸留所には存在しません。

  • 物理: kettle に wash を 回分 (batch) で投入、加熱蒸発させ、column 側で 1 段以上の精留を行う。pot のように途中で運転停止して残液 (spent wash) を抜き出し、新しい wash を入れる
  • 出口 ABV: 約 85% (連続式ほど純度を上げず、pot ほど低くもない)
  • congener: 中。ethyl hexanoate (C8H16O2、ヘキサン酸エチル、リンゴ・パイナップル系の ester)isoamyl acetate (C7H14O2、酢酸イソアミル、洋梨・バナナ系の ester) が light より明確に増える
  • 出てくる spirit の性格: rich、樽の vanillin と発酵由来の ester が両方乗る、Canadian rye が成立する香気層

Single Grain Fuji (2020 年発売、World Whiskies Awards で World’s Best Grain 受賞) は、この kettle grain を中核に、3 種類の grain を blend して single grain として独立ボトリングした製品です。後で詳しく書きます。

Heavy: beer column & doubler (Bourbon-style)

beer column は American bourbon の標準装置で、doubler (二次蒸留器、pot still の小型版) と組み合わせて使います。Kentucky の bourbon 蒸留所、すなわち Jim Beam、Heaven Hill、Four Roses が全社採用している方式です。

  • 物理: 1 本目の塔 (beer column) で wash を連続的に蒸発させ、ABV 約 50–60% の low wine を取り出す。それを doubler (pot 型) で 回分的に二次蒸留、最終 ABV を上げる。連続式と回分式が直列に連結された hybrid 構造
  • 出口 ABV: 約 70% (bourbon の蒸留 ABV 上限は法的に 80% 未満と規定される、bourbon 規定に準拠した数値)
  • congener: 多。fusel oil 系、furfural (アルデヒド、糖の熱分解由来) が pot に近いレベルで残る
  • 出てくる spirit の性格: heavy、油脂的、bourbon の本国スタイル、新樽 American white oak (Q. alba) との相性が前提

富士御殿場が Four Roses から継承したノウハウで bourbon-style heavy grain を作る のは、合弁出自そのままの工学的継承です。日本国内で bourbon を作っているのは富士御殿場以外にほぼ存在しません (法的にはアメリカで作らないと bourbon を名乗れないため、富士御殿場の heavy grain は「bourbon-style grain whisky」とラベルされる)。

3 本のグレーンスティルを並べると、こうなります。

Still 種類留出 ABVcongener主な flavour本国スタイル富士御殿場での用途
Light: multi-column~94%clean、樽 vanillin が立つScotchブレンドのベース、Single Grain Fuji の軽い層
Medium: kettle & column~85%rich、light ester、樽と発酵の両方が乗るCanadianSingle Grain Fuji の中核
Heavy: beer column & doubler~70%heavy、bourbon-like、油脂感American富士山麓と Single Grain Fuji の heavy 層

ついでに、malt 用の pot still が別途並立しています (Kirin Whisky Single Malt Fuji 等の malt 製品の原酒)。蒸留所として 4 種類の蒸留器を保有する、文字通り 「世界の蒸留所が集まっている」 形になっています。

「四種類のスティルを並列運用する」と書くと聞こえはいい

ここで現実的な話をします。

「四種類のスティルを並列運用する」 と書くと、聞こえはいいです。実態は次のようなものです。

  • 設備投資が 4 倍: 蒸留器そのものに加え、それぞれに対応する mash tun (糖化槽)、washback (発酵槽)、condenser (凝縮器)、spirit safe (蒸留後の spirit を測定・分配する装置)、そして樽詰めラインが必要になる。共用できる部分は少なくない (mashing 工程は集約可能) が、蒸留器以降は基本的に独立系統
  • 保守工数が 4 倍: 銅製のスティルは数十年で銅の腐食 (sulphur compounds による) が進行し更新が必要。multi-column は 40–60 段の plate の保守、kettle は中規模の銅釜と column、beer column は連続運転のシール材、pot は伝統的な保守 ― それぞれ保守カレンダーが独立する
  • blender が把握する変数が 4 倍: 3 種類の grain spirit と 1 種類の malt spirit、それぞれの new make の化学プロファイル、樽との相互作用 (light grain と heavy grain で同じ ex-bourbon 樽の vanillin の出方が違う)、熟成時の congener 挙動

つまり、「複雑性を内製で吸収する」 という聞こえのいい経営判断は、誰かがその複雑性を毎日扱っている ことの言い換えです。その「誰か」が、田中城太 Master Blender と、blender 室と蒸留現場のチームです。蒸留所が公開している blender の人数は限定的で、富士御殿場規模の四種混合の運用を回している組織としては、見える人員は驚くほど少ない。

それでも 4 種類を並列で持つ合理性は、確かにあります。

  • 外部調達不要: blended whisky を作るとき、light grain、medium grain、heavy grain、malt をすべて自社内製でき、為替リスク・輸入規制リスクがゼロ
  • 品質統制が一蒸留所で完結: 4 種類の原酒の挙動を一人の Master Blender が把握できる、blend 設計の自由度が極めて高い
  • 新製品開発の柔軟性: Single Grain Fuji のように「3 種類の grain を内製で blend した single grain」という製品コンセプトは、grain を 1 種類しか作れない蒸留所では物理的に不可能

これを「結局これが正解」と書くつもりは私にはありません。Scotch 蒸留所のように pot だけで single malt を 30 種類作る方が品質が深まる、と論じる立場も成立します。Canadian 蒸留所のように kettle に集約して大量生産する方が経済合理性が高い、と論じる立場も成立します。富士御殿場の四種混合は、合弁出自を引き継いだ蒸留所が「整理しない」という判断を 50 年継続した結果として今ある、という、極めて文脈依存的な構成です。

Single Grain Fuji ― 3 種の grain を一蒸留所内で vat する

Single Grain Fuji (2020 年発売、希望小売価格 4,000 円前後) の話に降ります。

この製品は、富士御殿場の 3 種類のグレーンスティル全部 から出てきた grain whisky を、一蒸留所内で blend したものです。light、medium、heavy の三つの congener プロファイルを、一つの瓶の中で重ねている。

ここで思い出すべき先行事例があります。1853 年、Edinburgh の商人 Andrew Usher II が、複数樽の Glenlivet 単一蒸留所原酒を vat (混和) して Old Vatted Glenlivet という製品を出しました (Andrew Usher と 1853 年の Old Vatted Glenlivet)。これが世界最初の商業的 vatting で、ボトル間の風味差を初めて意図的に小さくした製品です。Usher の vatting は 異なる年・異なる樽の同一蒸留所原酒の混和 でした。

田中城太の Single Grain Fuji は、Usher の系譜の 異なる装置・異なる蒸留方式の同一蒸留所原酒の混和 です。170 年経って、vatting の対象が「樽」から「蒸留器そのもの」に移動した。Usher が異なる樽の差を平均化して reproducibility を確保したのと同じ操作を、田中は異なる蒸留器の差を blend して single grain として成立させた、と読めます。

Single Grain Fuji 30 Years Old Small Batch は、World Whiskies Awards 2020 で World’s Best Grain を受賞しました (2021 にも Best Japanese Grain を受賞、4 年間で 4 回 World’s Best Grain を獲得)。grain whisky を「blend の素材」から「single grain として独立した飲み物」へと格上げする作業を、田中は商業的に成立させた。これは、Andrew Usher が 1853 年に「同じラベルの瓶を開けたら同じ味がする」を商業化したのと、構造的に対応した出来事です。

富士山伏流水と発酵 ― 化学側の補足

最後に水と発酵の話。

水源は 富士山伏流水。富士山の溶岩層と火山灰層を 50 年以上かけて濾過された soft water で、ミネラル分が低く、長時間発酵に向きます。granite (花崗岩) 由来の Highland water、たとえば Aberfeldy の Pitilie Burn の水質と物質的に類似しています (Aberfeldy 12 と Stephanie Macleod の Trophy 棚 で書いたもの) で、富士御殿場の light grain が Scotch grain の風味プロファイルに近づける化学的根拠の一つです。

発酵時間や酵母株の詳細は Kirin が公開していないので、私はここで「だいたいのオーダー」と書いて先に進みます。grain whisky の場合、発酵は短め (~48–60 時間) で、ester 生成より純度確保が優先される設計が標準です。Glenmorangie の washback で 52–60 時間の長時間発酵を回して ester を増やす (Brendan McCarron and the Yeast That Wasn’t There) のとは、grain と malt で発酵時間の意味が違う、という対比があります。

瓶のラベルに田中の名前は出ない

Single Grain Fuji の瓶のラベルに、田中城太の名前は出ません。multi-column still の名前も、kettle & column の名前も、beer column & doubler の名前も出ません。出ているのは富士山のシルエットと “Single Grain” と “FUJI” の文字、そして 46% ABV の表記です。

1853 年に Andrew Usher が瓶に “Old Vatted Glenlivet” と書いたとき、彼は混和した cask の比率を書きませんでした。1972 年に Kirin Seagram Ltd が御殿場に四種類の蒸留器を据えたとき、四社が出資比率をどう議論したかは経営史に埋もれています。2020 年に Single Grain Fuji が World’s Best Grain を受賞したとき、3 種類の grain を何対何で blend したかは公開されていません。170 年経っても、ラベルに書かれないことは同じ場所にあります。

次に Single Grain Fuji を 4,000 円で開けるとき、その滑らかなテクスチャの中に、

  • 1972 年の Kirin / Seagram / Four Roses / Chivas Brothers の四社合弁出資、
  • 御殿場に「四種類のウィスキーを一蒸留所で作る」設備を据えた合弁時代の意思決定、
  • 2002 年に Kirin が買い取った後も、その四種構成を整理せず継承するという判断、
  • 1988 年に Kirin に入社した田中城太が、Napa でワイン、Kentucky で bourbon を経由して 2010 年に Chief Blender、2017 年に Master Blender になるキャリアの曲線、
  • 3 種類のグレーンスティル全部から出てきた grain を 1 本の single grain として blend する技術判断、

が、すべて溶け込んでいることになります。一杯のグラスの中で四つの国の蒸留器が混ざっていると思って飲むと、その味は少し変わるはずです。私は変わりました。


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